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第74回全国大会の成功をふまえ、部落解放運動の飛躍をかちとろう

「解放新聞」(2017.03.27-2804)

 「部落差別解消推進法」の活用、狭山第3次再審闘争や鳥取ループ・示現舎にたいする裁判闘争の勝利をめざして、第74回全国大会を3月2日から2日間、大阪市内でひらいた。全国大会での分散会論議では、「推進法」の制定をふまえ、具体的なとりくみなどで代議員などから、さまざまな意見や評価、提案があった。
  安倍政権は、民主党政権当時に国会に提出されたが、衆議院解散−総選挙によって廃案になった「人権委員会設置法案」には断固反対の立場を表明してきた。われわれは、部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会の活動を軸に、こうした厳しい政治情勢のなかで、都府県実行委員会とも連携を深めながら、とりくみを積みあげてきた。自民党のなかで「推進法」が論議されてきたのも、部落差別の今日的な実態をしっかりと訴えてきた成果である。「推進法」が、自民党、公明党、民進党の3党の国会議員によって国会に提出され、衆議院、参議院ともに、日本共産党を除いた、社民党や自由党などもふくめた賛成多数で可決、成立したように、今日の部落差別の厳しい実態が、党派をこえた共通認識となっているのである。
  今後の課題として、「推進法」の周知徹底のとりくみが重要である。「推進法」は「部落差別は許されないもの」「部落差別のない社会を実現することを目的とする」と明記している。安倍首相は国会答弁で、「部落差別のない社会を実現することは重要な課題であります」「法律の主旨をふまえて、今後とも差別の解消に向けてしっかりと対処していきたい」としている。地方議会や行政交渉で、「推進法」をふまえた自治体の姿勢を明確にさせるとりくみをすすめよう。
  3月16日には、鳥取ループ・示現舎にたいする出版禁止の仮処分決定への異議申立てでも、横浜地裁は「推進法」に言及し、Mの申立てを棄却している。このように「推進法」を実効あるものにしていくには、相談体制の充実、教育・啓発の推進、実態調査の実施について、国や自治体に迫っていくことが必要だ。「推進法」は、「特別措置法」のような事業法ではなく、部落差別を撤廃していくための基本方向を示したものである。
  部落解放行政を推進させていくために、全国大会での論議もふまえながら、ブロック別全国支部長研修会で、「推進法」を活用していく具体的なとりくみをしっかりと論議していこう。

 狭山再審の実現に向けた闘いでも、多くの意見が出された。これまで、3者協議のなかで、不十分ながらも証拠開示がおこなわれ、弁護団の精力的な活動で、石川一雄さんの無実を示す多くの新証拠が提出されている。とくに、「自白」によって発見された万年筆が被害者のものでないと科学的に明らかにした「下山鑑定」や脅迫状を訂正した筆記用具が、発見された万年筆ではないとした「川窪第3鑑定」など、発見された万年筆、被害者の万年筆、脅迫状を訂正した万年筆がすべて同じ万年筆とした寺尾判決の誤りが決定的となっている。証拠開示された取調べテープを再現したDVDを活用した学習会などとともに、万年筆に関する新証拠を広く教宣し、「石川無実」の世論を大きく拡げていこう。
  狭山の闘いは、部落解放中央共闘会議や「同宗連」などとの共同闘争としても大きく前進している。さらに、全国各地の住民の会も、さまざまな立場からの結集と、狭山再審の実現に向けての創意工夫された活動など、狭山の闘いを着実に拡げるものとなっている。
  半世紀以上も無実を訴えている石川一雄さんと、全国各地の集会や学習会で石川さんとともに再審実現への想いを伝えている早智子さん、兄の六造さん、ウメ子さんなどの家族の奮闘に応えて、今年こそ、再審実現をかちとるために全力をあげて闘いをすすめよう。
  また、全国大会では、差別事件のとりくみで、鳥取ループ・示現舎にたいする裁判闘争、関連してインターネット上の差別情報の氾濫についての論議があった。
  裁判闘争では、毎回の口頭弁論で、東京都連などが原告とともに、労働組合や企業関係者、宗教者への働きかけを強めながら、傍聴体制にとりくんでおり、Mらの卑劣な策動を許さない闘いがすすんでいる。裁判闘争での完全勝利はもちろんであるが、差別を居直るMらの差別言動を社会的に広く訴えていくことも重要な課題である。
  インターネット上の差別情報については、中央執行部として、この間、プロジェクトを設置し検討をすすめてきた。「推進法」にもあるように、高度情報化時代での部落差別の拡散は深刻な実態にある。全国大会での論議をふまえ、早急にとりくみ方向などをとりまとめていく作業をすすめていきたい。

 今日、部落解放運動をとりまく国内外情勢は、運動方針でも明らかにしたように、欧米各国の新自由主義政策のもとで荒廃した政治的社会的情況への反発が、イギリスの欧州連合(EU)からの完全離脱や、アメリカのトランプ大統領を登場させたように、貧困問題を背景にしながら、差別排外主義の台頭に結びつくなど、民主主義と人権の後退を生み出している。しかも、新自由主義政策は、富(所得)の再配分は不必要だとし、格差や貧困の問題は自己責任とされてきた結果、社会的構造的な差別、分断、断絶が強まり、人種、民族、宗教などを理由にした対立を深刻化させ、フランス、ドイツ、イタリアなど多くの国で、排他的差別的な民族主義政党の勢力拡大につながっている。
  また、中国やロシアも、自国の利益を最優先に、資源確保に関連した領土、領海問題で強硬姿勢を続けており、軍事的対立もふくめて緊張が深まっている。さらに、この間のアメリカなどによるイラクやアフガニスタンをはじめとした軍事介入が、IS(イスラム国)などのテロを世界に拡散させる結果になっている。
  このような国際情勢のもとで、安倍政権は「戦争法」にもとづいて、昨年11月に南スーダンに「駆けつけ警護」「宿営地の防護」などの新任務を付与したうえで、自衛隊の派兵を強行した。しかし、この間の粘り強い「戦争法」廃止の闘いのなかで、南スーダンでの自衛隊派兵の継続を断念することになった。一方、安倍政権はいまだにトランプ政権に追従し、沖縄でも辺野古の新基地建設や高江のヘリパッド基地建設を強行している。人権と平和の確立に向けた闘いはますます重要だ。「退位問題」を利用した天皇制の強化反対や、「共謀罪」反対の協働した闘いも全力ですすめていかなければならない。
  「森友学園」や「陸自日報」などの問題で、憲法改悪をすすめようとする安倍政権の倣慢な反人権主義の政治に大きな批判が集中している。差別と戦争に反対する闘いをさらに前進させ、厳しい情況を乗り越えて「推進法」をかちとった成果をふまえ、部落解放運動の飛躍をめざして、運動方針の具体化をすすめよう。


 

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