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「部落差別解消推進法」の具体化に向けた取り組みを積み上げ、
第1次中央集会を成功させよう

「解放新聞」(2017.05.01-2809)

 安倍政権は、「特定秘密保護法」や「戦争法」を強行成立させ、今国会ではテロ対策を口実に、過去3回も廃案になった「共謀罪」の審議を強引にすすめている。「戦争をする国」づくりに向けた、憲法違反の「共謀罪」を断固阻止しよう。

 昨年11月に南スーダンに派兵された自衛隊は、「駆け付け警護」や「宿営地の共同防衛」の任務を付与されていたが、国連平和維持活動(PKO)の要件である「紛争当事者間の停戦合意」そのものが失われて、内戦状態であることから、撤収が決定された。「戦争法」の具体的な発動を狙った安倍政権の策動は失敗したが、撤収の理由は「自衛隊の設備整備に一定の区切りがついたと判断した」というように、あくまでも自衛隊の海外派兵の姿勢は変えていない。しかも、アメリカのトランプ政権の一方的なシリア、アフガニスタン攻撃や、朝鮮民主主義人民共和国への挑発行為についても、いち早く支持を言明するなど、アメリカに追従する形での日米軍事同盟の強化をすすめている。

 こうした人権や平和の危機に抗して、われわれは、差別と戦争に反対する闘いを断固としてすすめていくことを、第74回全国大会でも確認した。沖縄の辺野古新基地建設やヘリパッド建設強行、「共謀罪」など、広範な共同闘争にとりくむなかで、部落差別撤廃をはじめとした反差別の闘い、人権確立に向けたとりくみへの共感をかちとっていこう。安倍政権のもとで、格差や貧困の問題はさらに深刻化している。一方で、ヘイトスピーチ、道徳の教科化や「教育勅語」の復活など、国権主義と差別排外主義が台頭し、社会的マイノリティへの排除、忌避の言動が常態化している。昨年12月に成立した「部落差別解消推進法」の具体化をはじめ、包括的な人権の法制度の確立は急務の課題である。「推進法」をめぐるとりくみの強化に向けて、部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会に結集しよう。

 「推進法」をめぐる国会審議では、一部の反対派議員からは、法律のなかに部落差別の定義がないことや、今日、部落差別はすでに解消過程にあることがくり返しとりあげられた。しかし、衆議院、参議院とも法案の審議をおこなったそれぞれの法務委員会では、発議者の答弁として、インターネット上などの差別情報の氾濫を念頭に、今後新しい形での差別が考えられることから、あえて部落差別の定義をして限定することはせず、部落出身者であることをもって差別されることが部落差別であって、こうした理解はすでに一般的になっていると説明された。

 また、「推進法」を制定する必要性については、法案作成を具体的にすすめてきた自民党の部落問題に関する小委員会でのヒアリングでは部落解放同盟として、インターネット上の部落差別について、とくに鳥取ループ・示現舎による「全国部落調査」復刻版の出版、さらに同和地区Wikiや部落解放同盟関係人物一覧など、部落の所在地や役員の住所や電話番号のほか、個人情報を掲載していることをとりあげた。また、結婚差別の深刻な事例も説明し、部落差別の厳しい実態を訴えた。

 部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会では、当時の民主党政権のもとで「人権委員会設置法案」を実現できなかった総括として、法案成立に向けた与野党対策などの政治的な対応に集中しなければならなかった反省点を明らかにしてきた。今回の「推進法」制定実現に向けたとりくみでは、確信犯的で悪質な差別事件をとりあげたパンフを作成、都府県実行委員会を通じて、多くの国会議員に、今日の部落差別の実態を強く訴えてきた。そうしたとりくみの積みあげによって、自民党内での法案論議を促進させ、公明党、民進党、社民党などの合意もふくめた党派をこえた法案の国会提出となったのである。

 われわれは、こうした「推進法」実現に向けた活動、とくに部落差別撤廃に向けた広範なとりくみが、「推進法」を実現させたことを確認し、今後は、「推進法」の地域での具体化、活用のとりくみ方向について、全国的な論議をすすめていかなければならない。

 「推進法」は、第1条「目的」でも明らかにしているように、「現在もなお部落差別が存在する」「部落差別は許されないものである」として「部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的とする」としている。つまり、部落差別の存在を認め、部落差別は許されないものであることを、国として認めたことが、この法律の大きな意義なのである。すでに破綻した「国民融合論」や、自由同和会のように、部落差別事件を大きくとりあげることが部落差別問題の解決を阻害しているというような、反対や消極論は完全に否定されている。しかも、「推進法」成立後に初めて開催された自民党部落問題に関する小委員会でも、法務省などのとりくみ報告に関連して、あくまでも「同和問題」という文言に固執することにたいして、この「推進法」があえて「部落差別の解消」という目的を明記したことを強調、しっかりと部落差別の現実と向き合うべきであるとの厳しい指摘もあった。

 「推進法」は、そうした意味でも、第1条「目的」や第2条「基本理念」で示されているように、部落差別を撤廃していく基本方向を示したものであり、たんなる理念法ではなく、われわれが、この「推進法」をどのように具体化していくのかが課題として問われていることを確認し、今後のとりくみを強めていかなければならない。「推進法」の周知や広報はもちろんのこと、相談体制や教育・啓発の充実と推進、実態調査の実施など、こうした課題にかかわって、全国ブロック別支部長研修会で双方向の論議をすすめ、地域での「推進法」の具体化をかちとっていこう。「推進法」は、かつての「同和対策特別措置法」や「地対財特法」などとは違い、対象地区を限定する事業法ではない。この日本社会にある部落差別を許さないために、部落解放運動が先頭に立って、課題を明確にしながら、施策の推進をかちとっていかなければならない。さらに、この間実現してきた、個別人権課題の法律である「障害者差別解消法」や「ヘイトスピーチ解消法」などの問題点や課題を共有化し、包括的な人権の法制度の確立に向けた活動も重要である。

 こうしたとりくみはまた、差別-被差別の関係性を克服し、部落差別を許さない社会を創造するための広範な共同闘争としてすすめていく必要がある。
 「推進法」制定の成果をふまえ、とりくみの前進に向けて、第1次中央集会に結集し、政府各省交渉や国会議員要請行動などに全力でとりくもう。


 

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