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「リバティおおさか」を守る闘いをすすめよう

「解放新聞」(2017.07.10-2818)

 大阪市が、リバティおおさか(大阪人権博物館)が建てられている土地の明け渡しを求めて、大阪地方裁判所に提訴して2年が経過しようとしている。この間、被告である「リバティおおさか」や部落解放同盟大阪府連合会からの要請を受けて、部落解放同盟中央本部としても各都府県連や共闘団体などへ、この裁判の不当性を訴え支援などをよびかけてきた。この2年間の裁判闘争をふり返りながら、リバティおおさか裁判闘争を闘う意義についてあらためて訴えたい。

 1985年に大阪人権歴史資料館として開館してから30年あまり。大阪市も大阪府も予算を拠出し、リバティおおさかの活動を支援してきた。大阪府民のみならず全国各地、海外からの来館者は160万人をこえる。被差別マイノリティの当事者や活動団体から寄せられた貴重な資料から深く学ぶことができるリバティおおさかは、被差別マイノリティの人たちの「声なき声」と「差別に抗ってきたその歩み」を博物館活動として広く発信してきた。博物館法に規定された全国唯一の人権総合博物館であるとともに、社会教育での人権教育・人権啓発の推進拠点として、大きな役割をはたしてきたのは周知のとおりである。

 裁判闘争の本質的な問題を問うには、「府政改革」を掲げて就任した橋下徹・大阪府知事が、リバティおおさかを視察した当時にさかのぼる(別表を参照)。ゼロベースで府政全般にわたって改革をすすめていた知事が視察を終えたあと、展示内容の変更をしなければ「お金は一切出さない」旨をのべたのである。

 結果、重要な柱である「差別を受けている人の主張と活動」の展示では、差別に抗う、あるいは抗ってきた被差別当事者の「声とその歴史」を「抹消」した展示内容へと、行政の介入によって大幅に修正することを余儀なくされた。この展示内容の変更を知事が承認し、補助金全廃は免れることになる。

 その後、大阪市長に就任した橋下元府知事が2回目の視察をおこなったあと、リバティおおさかへの補助金全面廃止を通知した。

 この補助金全面廃止という攻撃にたいして、2012年7月に組坂委員長が被差別マイノリティ団体の代表者の一人として学識経験者らとともに、よびかけ人・共同代表となり「リバティおおさかの灯を消すな全国ネットワーク」を結成。存続を求める署名や支援カンパの運動にとりくんだ。また、各都府県連からも多大な支援と協力が寄せられた。その結果、土地の使用賃借契約の2年間延長などを得て、リバティおおさかは自主運営の道を歩むこととなった。

 大阪市がおこした裁判は、リバティおおさかが建てられている市有地を明け渡すよう求めたもの。9回にわたっておこなわれた口頭弁論で、大阪市はリバティおおさかの補助金廃止は「リバティおおさかに公益性はない」と判断し、それは大阪市議会でも承認を得た、と主張し続けている。

 「改革への期待」など府民から絶大な支持を得ていた大阪維新の会を中心とする政治勢力を、市行政が「同和行政の縮小・解体」に利用した結果、これまでの部落解放運動で積みあげられてきた「反差別・人権運動の歴史と教訓」が否定され、ねじ曲げられる -- こんなことが許されるものではない。このことが裁判闘争にとりくむ最大の意義といっても過言ではない。

 こうした攻撃はリバティおおさかだけに向けられているのではない。効率化・合理化や財政難・行財政改革などを名目にした隣保館・児童館などの統廃合や縮小、廃止がすすめられているが、こうした同和行政の後退などの背景にも、同じような問題が横たわっていることを私たちは注視すべきである。

 「部落差別解消推進法」の成立・施行を受け、あらためて部落差別の解消に向けて、被差別当事者の立場にある私たちみずからが、広く大衆の理解と支持を得た部落解放運動を再構築していく必要がある。

 6月9日、大阪地方裁判所でひらかれた第9回口頭弁論でリバティおおさかの弁護団は、第9準備書面を提出した。「建物収去と土地の明け渡し」を裁判の争点とする大阪市にたいし、あらためて反論するとともに、これまでの口頭弁論で主張してきた趣旨を整理し、「公権力による権利濫用」がこの裁判の背景に根深く横たわっていることを裁判長に訴えた。

 この2年間の裁判の集大成ともいえる準備書面の提出で、「裁判闘争」は大きな節目を迎えた。部落解放同盟は、リバティおおさかの運営を支援する支援者や関係団体としっかりと連帯して、全国ではじめての人権総合博物館であるリバティおおさかを守る闘いをすすめよう。厳しい運営を続けるリバティおおさかへの見学、寄附など全組織をあげて支援しよう。

 


 

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