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「戦争法」強行から2年、政権の暴走を阻止しよう

「解放新聞」(2017.09.11-2826)

 国会を徹夜で包囲する市民の反対の声のなかで、2016年9月19日未明に参議院本会議で「安全保障関連法」案(「戦争法」案)が強行採決されて、2年が経過した。この「戦争法」は、大多数の憲法学者、法曹関係者、歴代の内閣法制局長官経験者らが、憲法違反だと指摘しており、絶対に廃止しなければならない。

 7月28日、稲田朋美・防衛相(当時)は、南スーダンに国連平和維持活動(PKO)で派遣された陸上自衛隊の日報問題をめぐる不祥事の責任をとって辞任した。

 同日、南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報問題に関する特別防衛監察の結果が公表された。陸上自衛隊による情報公開法の開示義務違反、および自衛隊法の職務遂行義務違反と認定する内容のものだ。つまり、日報が違法に隠蔽されていたのである。また、稲田朋美・防衛相の隠蔽への関与については、書面による報告を受けたり、非公表を了承したりした事実はなかったとしたが、「陸自における日報データの存在について(稲田防衛相にたいして)何らかの発言があった可能性は否定できない」とも指摘しており、ひじょうにあいまいな結論にとどまった。

 そもそも、自衛隊は何を隠蔽したかったのか。昨年7月初め、自衛隊がPKO活動を展開する南スーダンの首都ジュバで政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘がおこり、数百人の死者が出ていると報じていた。しかし、日本政府は現地の状況について「散発的な発砲事案」「自衛隊に被害なし」とだけ発表し、「武力紛争は発生しておらずPKO参加5原則も崩れていない」と結論づけていた。

 当時、安倍内閣がすすめようとしていた最重要政策のひとつが、安保関連法にもとづく南スーダンPKO派遣部隊への新任務の付与であった。日報が開示されていれば、9月末にはじまった臨時国会で大議論になり、自衛隊に新任務の付与は実現しなかった可能性がある。いずれにせよ、戦闘や武力紛争が発生しているのにもかかわらず、その情報を隠蔽し虚偽の説明をして、自衛隊員の命が奪われた場合、だれがその責任をとるのか。また、自衛官のリスクをより高める「駆け付け警護」などの新任務付与の正当性が傷つくのを恐れ、安倍内閣の、「派遣継続ありき」「新任務付与ありき」の姿勢が隠蔽につながったといえる。

 この問題を稲田防衛相、防衛事務次官、陸上幕僚長の辞任だけで終わらせず、真相究明し、真実を国民の前に明らかにしなければならない。そして、戦争に巻きこまれる危険性の高い自衛隊派遣を即刻、やめさせよう。

 広島・長崎は、今年で72回目の「原爆の日」を迎えた。

 長崎市の平和公園でひらかれた平和祈念式典の平和宣言で田上富久・長崎市長は、7月に国連で採択された核兵器禁止条約の交渉会議に参加しなかった日本政府の姿勢を「被爆地は到底理解できない」と厳しく非難し、条約を批准するよう迫った。また、長崎県内の被爆者5団体による安倍晋三・首相への要望のなかで5団体を代表して、長崎県平和運動センター被爆連の川野浩一・議長は首相に要望書を手渡すさい、「総理、あなたはどこの国の総理ですか」「私たちを見捨てるのですか。今こそ核廃絶の先頭に立つべきです。私たちもお手伝いします」と首相に手渡す文書にはない言葉で、核兵器禁止条約の制定交渉に加わらなかった政府へのいらだちを表した。安倍首相は表情を変えずに要望書を受けとって、のべた。「核軍縮のすすめ方にはさまざまな考えがあるが、核兵器(保有)国と非核兵器国の参画が必要。双方に働きかけて国際社会を主導する」。核拡散防止条約(NPT)体制などを基本とした従来のとりくみをすすめる方針を説明した。

 被爆者は今日まで差別と貧困を強いられ、さまざまな健康被害と闘いながら苦しい生活を送ってきた。しかし、被爆者が核兵器の被害の実相とその非人道性を訴え、核廃絶を求め続けてきた結果、今年7月の国連総会で「核兵器禁止条約」が採択された。条約は、前文で被爆者や核実験被害者の「受け入れがたい苦痛と被害」にふれながら、核兵器が国際人道法と国際人権法の原則と規則に反するとして、その製造や使用のみならず威嚇行為を法的に禁止する画期的なものであり、核保有も許さないとしている。

 しかし、唯一の戦争被爆国である日本の政府は、本来ならば核兵器廃絶に向けて積極的にリーダーシップを発揮する立場にあるにもかかわらず、この条約の交渉に参加せず、いまも条約の批准・発効に反対し続けている。8月6日、広島の平和記念式典で、安倍首相は「唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界」の実現に向けた歩みを着実に前にすすめる努力」を口にしながら、核兵器禁止条約には一言もふれなかった。安倍首相がいう平和は、政治的ポーズにすぎない。私たちは、日本政府が「核兵器禁止条約」を直ちに批准し、核兵器保有国にたいして核兵器廃絶を促すことを強く求める。

 8月19日の新聞で、スイス・ジュネーブの国連軍縮会議で日本の高校生平和大使による演説が予定されていたが、日本政府が見送る方針を決定したとの報道がなされた。政府が反対している核兵器禁止条約を高校生平和大使が「推進すべきだ」と主張することを政府・外務省が恐れたのではないかといわれる。こういう理由が真実ならば言語道断であり、絶対に許してはならない。

 高校生平和大使は1998年から毎年、国連を訪問し、核兵器廃絶と平和な世界の実現を訴えてきた。1999年の第2代まではアメリカ・ニューヨークの国連本部へ、2000年の第3代からは軍縮会議がひらかれるスイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪問している。高校生平和大使は国連では「ヒロシマ・ナガサキ・ピース・メッセンジャー」として認知され、その真剣な言動は国連で高い評価を得て、大きな成果をあげてきた。日本政府のこうした行為は、高校生平和大使の核兵器廃絶と平和な世界の実現をめざしてきたとりくみを妨害し、何よりも憲法に保障された表現の自由を侵害しており、絶対に許すことはできない。

 第二次世界大戦後の1946年から現在まで、世界では戦争や紛争が途絶えた年はない。戦争被爆国である日本が、世界の核兵器廃絶やアメリカの核の傘からの脱却、東北アジアの非核化の実現にとりくみ、戦争や紛争のない世界の実現にとりくまなければならない。

 私たちは、「戦争をさせない1000人委員会」と連携し、「集団的自衛権」の行使容認の阻止や「戦争法」廃止の闘いにとりくんできた。

 そのなかで、さまざまな立場や意見の違いを乗り越え、安倍政権と対決する多くの人びとが結集できる共同組織として、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が結成された。

 そして「総がかり行動実行委員会」は、毎月19日行動のとりくみ、「戦争法」にたいする抗議行動・集会、「戦争法」違憲訴訟支援、「戦争法の廃止を求める統一署名」に、広範な人びととともに、とりくんできた。

 しかし、安倍政権は暴走の度合いをいっそう強めている。沖縄・辺野古への基地建設、歴史認識の改ざん、貧困と格差の拡大、原発再稼働、そして憲法破壊策動へと突きすすんでいる。何としても、「戦争をする国」へ突きすすむ安倍政権の退陣と政策転換を実現しなくてはならない。

 「戦争法の廃止を求める統一署名」がよびかけられ、法曹・学者・市民によって「安保法制違憲訴訟」などが準備されてきた。これらのとりくみを、幅広い人びとと力を合わせてすすめていこう。

 「戦争をする国」づくりをすすめ、新自由主義路線にもとづき貧困と格差を拡大する安倍政権と対決し、立憲主義と平和憲法を守り、人権、平和、民主主義の確立をめざし、すべての市民と連帯して闘い抜こう。


 

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