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部落解放研究第51回全国集会に参加しよう

「解放新聞」(2017.10.16-2831)

 11月6日から8日にかけて、大阪市内で部落解放研究第51回全国集会が開催される。大阪では全国水平社創立70周年の年いらい、25年ぶりの開催となる。

 集会テーマは「「部落差別解消推進法」の具体化をすすめるとともに、あらゆる差別の撤廃にむけた協働の取り組みを前進させ、包括的な人権の法制度の確立をめざそう」。規模は6000人で、メイン会場は大阪国際会議場(グランキューブ大阪)となる。

 2016年12月、「部落差別解消推進法」が成立、施行された。4月の「障害者差別解消法」、6月の「ヘイトスピーチ解消法」と合わせて昨年は人権にかかわる3つの法律が施行された年となる。個別の人権課題について、それぞれ対応をすすめるという安倍政権の姿勢のなか、厳しい差別の実態や国連人権条約機関からの勧告、そして何よりも当事者団体や支援のとりくみが、これらの法制定に結びついたことはいうまでもない。

 しかし法施行後の日本社会の状況をみると厳しい差別の状況は変わっていない。「障害者差別解消法」の施行直後の昨年7月、相模原市の障害者施設で、元職員が「障害者には生きている価値がない」として19人を殺害、26人に重軽傷を負わす事件をおこした。同法施行後も法律で義務づけられた指針を民間事業者に通知していないだけでなく、自治体でも必要な「対応要領」が策定されていないなどの課題も明らかになっている。

 「ヘイトスピーチ解消法」に関しては、在特会・同会元会長の差別行為について「人種差別と女性差別の複合差別にあたる」と初認定した反ヘイトスピーチ裁判の判決が今年6月に出された。こうした前進面はあるものの、いまなお全国各地でヘイトスピーチのデモが公然とおこなわれ、東京都知事選挙のように、自治体選挙に立候補し、選挙運動として公然と差別排外的な演説をおこなうなど、新たな手法でのヘイトスピーチも社会問題となっている。

 推進法については、鳥取ループ・示現舎による「全国部落調査」復刻版出版事件や大量差別文書配布事件、インターネット上の差別情報の氾濫など、攻撃的で悪質な差別事件が多発している。

 この間に制定された3つの法律に共通していえるのはいわゆる「理念法」であるがゆえに、このような悪質で攻撃的な差別事件がおこっても、規制することができず、被害を受けた人たちを救済することができない点である。

 永年、制定を求めて広範な運動がすすめられてきた「人権侵害救済法」や「差別禁止法」などのすべての人権課題を横断して対応できる法の必要性があらためて浮かびあがっている。

 こうした状況のなかで開催される部落解放研究第51回全国集会で部落差別解消・人権政策の確立に向けたとりくみをどのように前進させていくのか、論議を深めていくことが求められている。

 全体集会の1日目には「部落差別解消推進法」の制定をふまえた特別報告として①「「部落差別解消推進法」制定と今後の部落解放行政」と題して炭谷茂・恩賜財団済生会理事長(元総務庁地域改善対策室長)②「「部落差別解消推進法」具体化にむけた今後の課題」と題して西島中央書記長が特別報告。

 そして記念講演として『分断社会を終わらせる』の著者である井手英策・慶應義塾大学教授から「いかにして「分断社会」を終わらせるか」というテーマで、貧困や格差がすすみ、他者への寛容さが失われつつある社会から、誰もが安心して暮らせる社会づくりへの具体的な提案を受ける。

 全体集会3日目には地元報告として、昨年大阪府連でとりくまれた「暮らしのアンケート調査・地域資源ヒヤリング調査」の分析結果からみえてきた課題や社会的起業による新たな運動について、大北規句雄・府連副委員長から報告を受ける。そのあと『母子世帯の居住貧困』の著者、葛西リサ・日本学術振興会特別研究員から講演を受ける。葛西さんは全国のDVシェルターや母子生活支援施設や婦人保護施設への調査、当事者、支援者へのアンケート、ヒアリングから著書をまとめており、母子施策の新たな可能性を示す講演となる。

 2日目は部落差別の解消、人権政策確立に向けたさまざまなとりくみの交流、提言をふまえて、7つの分科会で具体的に論議を深める。時事・部落史(第1)では、前半は、前近代・近現代の部落差別の歴史を学ぶ。後半は、厚生労働省が発表した「地域共生社会」実現に向けた5年間の行程表について学ぶとともに、重要性が増す隣保館について「地域共生」と「差別解消」という視点から課題を学ぶ。

 部落解放行政・人権行政の課題(第2)では、インターネット上の部落差別の現実、法の具体化となる自治体の実態調査について考察する。後半は、「推進法」の施行をふまえ、和歌山県、兵庫県、三重県で検討されている条例について学ぶ。

 同和教育・人権教育の課題(第3)では、「推進法」の第5条をふまえ、部落差別解消のための教育をどうすすめるのか、をテーマに文部科学省から報告を受けるとともに、各地域の現状や実践などについての報告を受ける。

 人権啓発の課題(第4)では、連合中央から「採用選考に関する実態把握のためのアンケート調査」について報告を受けるとともに、調査や事象をとおして明らかになった部落差別解消のための啓発課題とそのとりくみを考察する。後半では、ハンセン病問題や障害者差別解消に向けた人権啓発のとりくみについて学び、部落差別解消の人権啓発のとりくみについて考える。

 狭山事件と司法民主化の課題(第5)では、狭山事件の新証拠の学習を深めるとともに、裁判の現状を学ぶ。また、再審無罪をかちとった東住吉事件を学習し、えん罪と司法の民主化の課題を考える。

 部落差別事件の今日的特徴と取り組みの課題(第6)では、部落差別解消の推進にとって重要な部落差別の現実認識について、現実に発覚している差別事象から学習し、そのとりくみをとおして部落差別解消の課題について考察する。

 人権の法制度確立にむけた協働した闘いの課題(第7)では、昨年、施行された3つの法律の具体化の現状と課題を学ぶとともに、包括的な人権の法制度の制定について考察する。また、性的少数者(LGBT)差別に関する法整備と現状の課題について学習する。

 さらに、分科会とは別に、地元実行委員会の企画として、リバティおおさかや生野コリアタウンの見学・学習、大阪での新たな試みである民設置民営の隣保館、ふーどばんくOSAKA(認定NPO法人)などの見学と学習、さらには、人権研修・ワークショップおしゃべりの道具箱など、5つのコースでフィールドワークが企画されている。

 第51回大阪全研で、地域や職場でのさまざまな実践を交流し、部落解放・人権確立に向けた論議を深め、新たな部落解放運動の展望をきりひらこう。



 

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