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「部落差別解消推進法」制定の意義をふまえ、
活用と具体化に向けたとりくみを強めよう

「解放新聞」(2017.12.11-2838)

 「部落差別解消推進法」が昨年12月16日に公布、施行されて、1年が経過した。この間、第74回全国大会での論議や、全国ブロック別支部長研修会での提起などをふまえて、全国でとりくみがすすめられてきた。

 とくに、「推進法」の周知徹底については、都府県、市区町村の広報紙の活用や、鳥取県のテレビ放映、兵庫県のリーフレット作成など具体的なとりくみ、議会質問による行政姿勢の明確化などもすすんできた。また、新潟、大阪、鳥取、島根などの部落解放・人権政策確立要求実行委員会のとりくみや、全国隣保館連絡協議会(全隣協)によるポスター作成、日本基督教団部落解放センターの独自リーフレットなど、実行委員会、団体の独自の活動もすすめられてきた。さらに、ようやく法務省もリーフレットを作成、全国的な広報活動が本格化している。

 「推進法」は、今日的な部落差別の存在を認め、部落差別を社会悪として、その撤廃に向けて国や自治体がとりくみをすすめることを明記した画期的な法律である。インターネット上の差別情報の氾濫、全国でおきている土地差別問い合わせ事件、差別投書、差別落書事件をはじめ、結婚差別など、具体的な差別事件を集約し、幅広く社会に訴えていくことが重要である。

 鳥取ループ・示現舎にたいする裁判闘争をはじめ、続発する差別事件が立法事実となり、この「推進法」制定を実現させてきたのである。「特別措置法」終了以降の部落差別撤廃に向けた部落解放行政・人権行政のとりくみを点検し、「推進法」制定をふまえた行政交渉を強化していくことが重要である。

 「推進法」第4条では、部落差別撤廃に向けた施策として、相談体制の充実にとりくむことが重要だとしている。これまでも、全国的には隣保館などを中心にした相談活動がすすめられてきたが、日常的な部落差別体験へのとりくみや、きめ細かな生活相談ができる行政機構の充実、改編をはじめ、専門的な相談員体制の充実は急務の課題になっている。

 これまでは全国の人権擁護委員の活動もふくめて、相談活動の体制が十分とはいえないことが指摘されてきた。「推進法」反対派や消極派は、法務省の集約による部落差別に関する相談件数が少ないなどとしているが、そのことが、まさに相談体制の不備、不十分性を明らかにしているということを理解していないのである。「推進法」の制定をふまえ、問題解決に結びつかない、専門性のない、現在の相談体制を大幅に充実させるためにとりくみを強めよう。

 さらに、「推進法」第5条では教育・啓発の推進が取り上げられている。これまで、2000年に制定された「人権教育・啓発推進法」にもとづいて、部落問題もふくめた人権教育、人権研修がとりくまれてきた。しかし、幅広い人権問題を取り上げるなかで、それぞれの課題での今日的な差別実態、問題解決に向けた具体的なとりくみ状況などについて学習、研修する内容になっていないことが指摘されてきた。差別問題や人権問題の学習、研修にとって当事者から学ぶことをふくめて、知識という面と、差別に気づく、差別を許さない感性の育成が重要なことはいうまでもない。

 部落問題学習をすすめる人材育成も急務の課題となっている。これまでの人権教育・啓発のとりくみ成果をさらに着実に拡げ、深めていくために、「推進法」の制定を契機に、教員養成課程での部落問題学習の必修化、教材開発など、さまざまな課題についてとりくみをすすめよう。

 「推進法」第6条では、部落差別の実態に係る調査の実施が明記されている。この間、法務省は、全国の自治体に過去の人権問題に関する調査についての照会をおこなうとともに、(公財)人権教育啓発推進センターに委託し、有識者会議を設置し、実態調査についての検討をすすめている。部落解放同盟も有識者会議からのヒアリングの要請を受けて、西島書記長が、部落差別の実態を正確に把握するための手法、内容について説明をおこなった。法務省は、一般的な人権意識調査やインターネット上の部落差別情報に限定した調査内容を中心課題にしようとしているが、部落差別の実態は、インターネット上の差別情報の氾濫だけでなく、生活圏域内でおこる日常的な事象が多い。差別事件のみならず、今日の被差別部落の生活実態、全国的な部落差別に関する意識調査を総合的に実施することでなければ、部落差別の今日的な実態が把握できないことは明らかである。

 法律が制定されただけでは、部落差別問題が自然に解決することはない。部落解放運動が「推進法」を最大限に活用、具体化することが重要だ。先般開催された第51回全研でも報告されたが、大阪府連では、支部を中心に約7000人への実態調査を実施して集約、分析をすすめている。こうした運動として、部落の実態を明らかにすることも重要だ。

 「推進法」の公布、施行から1年。まだまだ「推進法」の活用、具体化に向けた課題は多い。この間の活動の成果、行政交渉などで明らかになった問題点など、全国での実践を交流するとともに、課題を共有し、部落差別撤廃にとりくむすべての人たちとの協働、連帯の営みをすすめ、部落解放行政を大きく前進させよう。


 

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