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子どもたちの育ちと学び、未来を保障するとりくみをすすめよう

「解放新聞」(2018.04.09 -2854)

 新年度を迎えた入学式の頃、各地で夢と希望に満ち溢れた新たな門出の光景が見られることだろう。

 いま、子どもたちの確かな育ちと豊かな学び、そして未来を保障していくために、一人ひとりに寄り添う支援を軸にした地域での地道なとりくみをすすめるとともに、憲法改悪を強行しようとする現政権と対峙し、安心安全な生活を取り戻し、平和と民主主義を守り抜くための広範な闘いを展開していくことが求められている。

 いわゆる「森友学園」に関する公文書改ざん問題では、隠ぺいと改ざんの首謀である財務省にはあきれるばかりだ。そもそも「森友学園」問題は、子どもたちに「教育勅語」を暗唱させたり、「安倍首相頑張れ」といわせるなど、復古主義、国権主義的な教育内容や、昭恵夫人が名誉校長を務めていることが問題視されたものだ。その後、校舎新設をめぐる不明瞭な土地取引が明らかになり、国会で大きな論議に発展している。しかも、会計経理の公正さを監督することを職責とし、内閣からも独立した憲法上の機関としての地位を与えられた会計検査院までもが、異なる文書の存在に気がつきながらも、その事実を隠匿していたことが明らかになるなど、行政にたいする信頼は地に落ち、安倍政権の支持率も急落している。

 そして、ご多分に漏れず、文部科学省までもが、「教育基本法」が禁止する「不当な支配」に抵触する愚行をはたらき、大きな批判を浴びている。名古屋市の中学校が、前川喜平・前文部科学事務次官を講師に招いた授業について、文部科学省が学校にたいして執拗に問い合わせをおこなっていた。講師の経歴、講師の選定過程、講演内容などについて、逐条質問への回答と、録音データの提供を求めていたものである。今回の、「授業調査」は、明白な教育への不当な介入であり、教育の自由と自主性を奪おうとする、支配そのものである。

 結論としては、前川前事務次官を講師に迎えた授業の開催を知った自民党文教族議員が執拗に文部科学省に問い合わせをし、圧力をかけ、それに屈した文部科学省がやむを得ず、問い合わせをしたというのが実情のようである。当の議員本人は日常業務の一環であり、不当な介入や圧力にあたらないと放言し、文部科学大臣も、「法令に基づいた行為だった」など問題はないとの記者会見をおこなった。

 権力の暴走から民主教育を守るために、盾となるべき文部科学省が職責を放棄した事実は相当に深刻であり、由由しき事態である。

 今春から、道徳の授業が学習指導要領にもとづく正式な教科としておこなわれる。これまで副読本や自主教材を使用しながら、地域の実状や課題を交え、学校現場で創意工夫した授業実践がおこなわれてきたが、今後は検定教科書が使用されるということである。この間の教科書検定における修正や教科書採択をめぐる状況を考えると、現政権の意向にそった国権主義を前面に押し出した内容が強制されていくことが懸念されている。そこに今回の一件である。

 この間、人権・同和教育運動や研究のなかで、道徳教育を人権教育の視点で捉えなおし、道徳と人権を車の両輪として実践をすすめていくことなど、復古主義・国権主義的に対抗していく教育実践について、論議が深められてきた。子どもたちの豊かな感性を磨き、社会の多様なありようについて認識を深め、社会のさまざまな矛盾をみずからの問題として捉え、解決をめざす行動力を養う、そうした教育実践を創造していくことが求められている。民主教育の確立と教育への不当な介入・支配を許さず、子ども・保護者・地域とともに、各地で人権を基軸にした教育実践をすすめていこう。

 さらに、5月には文部科学省交渉を実施する。部落解放同盟では、「就学支援金」や「奨学給付金」の制度創設以降、高校生の就・修学支援にかかわる諸制度に関して、生徒や保護者への周知の問題や、申請方法の簡素化などについて、具体的な課題を指摘しながら改善要望をおこない、利便性の向上をはかってきた。

 しかしながら、文部科学省の調査で、「奨学給付金」の支給漏れが、全国の私立高校だけで2万人(2016年度)をこえることが明らかになっている。この事実は、もはや制度上の欠陥と認めざるを得ないのではないだろうか。

 また、義務教育段階での施策として、優先順位を問題視されながらも、私学経営者側からの強い要望で創設された「私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業」補助金にいたっては、当初見込みを大幅にこえる申し込みが殺到し、予算不足で執行できない状況が続いている。政権の人気取りや一部への利益誘導のために、子どもや家庭にツケをまわす事態を生んでいる。

 学びの権利行使の主体は子どもであり、教育にかかわるさまざまな施策は、直接支援、間接支援にかかわらず、子どもと子どもを保護する義務を負った保護者を基盤にして、施策の検討と立案がはかられるべきであり、生活実態にそくした制度設計と運用が求められる。

 各地で子どもたちの生活実態を明らかにしながら、課題を集約し、文部科学省交渉をはじめ行政交渉にとりくみ、子どもたちの育ちと学びを保障する施策の実現につなげていこう。


 

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