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NEWS & 主張

主張

 

人権確立社会の実現に向け、
子どもの権利保障へとりくみをすすめよう

「解放新聞」(2018.10.08-2878)

 国連・子どもの権利委員会による第4回・第5回日本政府報告書の審査が、2019年1月におこなわれる予定である。

 すでに、NGOレポートの提出、会期前作業部会での質疑応答を終え、年内までに、本審査に向けた委員会による「事前質問事項」にたいする日本政府の回答と、NGOからの追加情報の提供をへて、来年の本審査にいたる。部落解放同盟や日教組が参加するNGOレポート連絡会議では、高校授業料無償化制度からの朝鮮学校の除外にかかわる問題や米軍基地をふくむ沖縄の子どもたちの問題など、情報の追加をおこなう準備をすすめている。

 「事前質問事項」として、子どもの権利にかかわる包括的な法律などの整備、独立した監視機構、差別解消に向けた措置、貧困問題、原発事故による被曝者への支援など、20以上にわたる問題がとりあげられており、本審査での質疑をへたあと、会期末の2月1日に総括所見が採択される予定である。

 委員会審査では、日本の子どもたちの置かれた状況について、日本政府の詭弁を並べたてた答弁が予見されるが、そうした国際社会にたいする不遜な態度を厳しく批判すると同時に、NGOの一員として、総括所見のフォローアップにしっかりととりくみ、政府にたいして勧告の誠実な履行をねばり強く求めていかなければならない。

 さる8月、国連人種差別撤廃委員会による第10・11回日本政府合同定期報告書の審査がおこなわれた。会期中、一人の委員から「日本政府は国際機関からの勧告の実施を担うシステムはあるのか」という趣旨の質問がなされている。

 これまでの人種差別撤廃委員会の経過からして、たび重なる勧告を受けても、遅遅として履行しようとしない日本政府にたいする不信のあらわれであり、日本政府に誠実さを問いかけるものと考えるのが妥当であろう。

 果たして、私たちの国の代表である日本政府代表団は、国際社会において、一人の委員にこうした言葉を吐かせてしまったことの重みや責任を感じているのだろうか。

 また、日本国内で差別撤廃・人権確立にとりくむ私たち自身も、委員からの問いかけを、しっかりと受け止め、国際社会に恥じない人権確立社会の実現に向けてさらに奮闘することが求められている。

 元来、日本では子どもの育ちや学びにかかる費用は家庭が負担すべきとする考えが支配的であることや、子どもの教育や福祉に関する公的支出の減少が続いてきたために、子どもたちの育ちや学びを支える社会基盤が脆弱化してきたとの指摘もある。経済協力開発機構(OECD)が実施した教育機関への公的支出割合に関する調査(2015年)でも日本は比較可能な34か国中でもっとも低い結果であることが明らかになっている。

 このように子どもの育ちや学びについては、厳しい現下の状況であるにもかかわらず、この10月から生活保護基準が見直され、「生活扶助」の引き下げや、「教育扶助」の使途が限定されることを受けて、月づきの支給額が減額される世帯が生じる「改悪」が断行された。

 また、朝鮮学校を高校授業料無償化から除外した国の処分の是非を争う、いわゆる高校無償化裁判で、9月27日に大阪高裁は、国の処分を違法とした1審地裁判決を取り消し、「除外は適法」とする不当な判決を出した。

 「一億総活躍」をはじめ安倍政権が掲げる華ばなしいスローガンの裏で、より厳しい立場にある子どもたちの自由と権利を奪う愚行がすすめられていることを断固許さず、生活保護の抜本的見直し、高校無償化の完全実施など、子どもの権利保障に向けたとりくみをすすめていこう。

 さる8月18、19日、部落解放第50回全国高校生・第62回全国青年集会を兵庫県神戸市でひらき、全国各地から700人をこえる若者が結集し、成功裏に終えることができた。

 集会参加者の内訳を地域別や年齢層別にみると偏りがあることなど、高校生・青年運動の組織化など従前からの課題がみられるものの、子どもの減少が続く社会情勢のなか、今年の兵庫集会には例年以上の高校生の参加を得ることができた。この事実は、たんなる偶然ではなく、各都府県連・支部段階で、青年と高校生のつながりや地域に根差したとりくみを模索し、追求してきた成果であり、次代の解放運動につながる大きな財産であると確認したい。

 ひき続き、家庭、地域、学校が連携した教育運動や、地域を基盤とする高校生・青年活動など、各地域の実情に応じて創意工夫した活動を展開し、部落解放運動のさらなる発展と活性化をかちとろう。

 最後に、今年の兵庫全高・全青の成果と課題をふまえ、来年の鹿児島全高・全青につないでいくために、11月10日に兵庫集会の総括会議をひらく。全国集会や高校生・青年活動のいっそうの発展と活性化に向けて、各都府県連・支部から多様な意見をもち寄っていただくことをお願いするものである。

 

 

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