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部落解放運動の前進に向けて理論と実践交流を深め、
第52回岡山全研を成功させよう

「解放新聞」(2018.10.22-2880)

 10月2日、第4次安倍改造内閣が発足し、安倍首相は「自民党がリーダーシップを執り、次の国会に改正案を提出すべき」と憲法9条に自衛隊を明記する改憲案を秋の臨時国会に提出する考えを示した。内閣改造・党役員の人事も、森友学園や加計学園での公文書改ざん、イラク・南スーダン日報隠蔽、セクハラ発言や暴言など連続する疑惑や不祥事の説明責任を果たしてこなかった議員も起用し、残り3年の総裁任期中に是が非でも憲法改悪をおしすすめる体制だ。また、9月末の沖縄県知事選挙を受けてなお、「沖縄によりそう」とくり返しながら「政府としては早期に辺野古移設と普天間飛行場返還を実現したい考え方に変わりはない」と、2回の知事選で圧倒的に示された民意を無視した辺野古新基地建設を強行しようとしている。

 さらに、柴山文部科学大臣は就任会見で、教育勅語について「アレンジした形で今の道徳等に使うことができる分野は十分にあるという意味では、普遍性をもっている部分が見てとれる」「現代的にアレンジして教えていこうという動きがある。検討に値する」などと明言した。これまでも、教育勅語を否定しない安倍政権は、「特定秘密保護法」や「戦争法」「共謀罪」を強行成立させるなど「戦争をする国」づくりに向けた戦前回帰の戦争推進政策をすすめ、人権と平和を脅かしている。

 この間、安倍政権のもとで軍事予算が増す一方で、生活保護費の減額をはじめとする社会保障費や医療費の削減、労働法制の改悪がすすめられ、格差は拡大し、貧困の問題は深刻化している。こうした反人権主義・国権主義の政治がすすめられるなか、悪質で攻撃的な差別事件があとをたたない。「部落差別解消推進法」「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」制定後も厳しい差別の状況は変わっていない。「部落差別解消推進法」施行後の周知のとりくみは積極的にすすめられてきたが、法律の活用や具体化のとりくみをいっそう強力にすすめていかなければならない。さらに、個別人権課題の法制定の成果と課題を共有し、人権侵害救済制度をはじめとした包括的な人権の法制度の確立が必要だ。

 部落解放・人権政策の確立に向けたとりくみの前進をめざし、11月27〜29日にかけて、岡山市内で開催される部落解放研究第52回全国集会で議論を深めよう。岡山では、28年ぶり4回目の開催となる。

 集会テーマは「あらゆる差別の撤廃にむけた協働の取り組みを前進させ、「部落差別解消推進法」の具体化と包括的な人権の法制度の確立をめざそう」。規模は4000人で、メイン会場は岡山県総合グラウンド体育館(ジップアリーナ岡山)となる。

 全体集会1日目には記念講演として、弁護士であり、日本国憲法の理念を伝える講演・執筆活動をされている伊藤真・伊藤塾塾長から「改憲問題をどう考えるか」というテーマで、憲法の理念と現政権ですすめられようとしている改憲がおよぼす影響などについての講演を受ける。そして「「部落差別解消推進法」具体化と部落解放行政の推進にむけて」と題して西島中央書記長から特別報告を受ける。

 全体集会3日目には、個人で初めてヘイトスピーチをめぐって民事裁判をおこしたフリーライターの李信恵(リシネ)さんから、ヘイトスピーチを許さない社会へ向けた具体的なとりくみや課題について報告を受ける。また、国内外のLGBTQ(性的少数者)に関する国や自治体の対応策の現状、LGBT差別に関する法整備に向けた課題について、尾辻かな子・衆議院議員からの報告を予定している。いずれも、今日の人権・平和の確立に向けた重要なとりくみ課題である。講演・報告をふまえ、今後の活動をさらに強化していこう。

 2日目は部落差別の解消、人権政策確立に向けたさまざまなとりくみの交流、提言を中心に、7つの分科会で具体的に論議を深める。時事・部落史(第1)では、前半は、ハンセン病問題について学ぶ。後半は、部落史から渋染一揆と全国水平社創立についてその意義と今後の部落解放運動について考察する。

 部落解放行政・人権行政の課題(第2)では、「部落差別解消推進法」具体化の現状と今後の課題を明らかにする。前半は、地域・自治体におけるとりくみの成果と課題をテーマに(一社)部落解放・人権研究所のおこなった自治体へのアンケート結果や、鳥取県、大分市、兵庫県のとりくみについて報告を受ける。後半は、兵庫県たつの市、福岡県小郡市・飯塚市の自治体条例制定・改定のとりくみに学び、今後の活動の強化につなげていこう。

 同和教育・人権教育の課題(第3)では、個別人権課題の法律制定をふまえ、これまでの人権・同和教育のとりくみから今後の人権教育のあり方を新たな視点で学習する。人権啓発の課題(第4)では、LGBTQに関して企業での望ましいとりくみについて学ぶとともに、多くの企業がSDGs(持続可能な開発目標)に関心を示し対応をすすめるなか、SDGsと人権の課題のとらえ方やとりくみ、企業が果たす役割を明らかにする。また、映像を活用した市民啓発のとりくみや部落差別意識の現状をとおして部落差別撤廃に向けた人権啓発の課題ととりくみについて考える。

 狭山事件と司法民主化の課題(第5)では、狭山事件の新証拠の学習を深めるとともに、再審闘争の現状を学ぶ。また、映画「獄友」の上映と石川一雄さん、早智子さんはじめ映画出演者らによるトークから、えん罪と司法の民主化の課題を考える。

 部落差別事件の今日的特徴ととりくみの課題(第6)では、鳥取ループ・示現舎にたいする裁判闘争と、東京、香川、長野での部落差別事件へのとりくみをとおして部落差別撤廃の課題について意見交換をする。

 人権の法制度確立に向けた協働した闘いの課題(第7)では、「ヘイトスピーチ解消法」をふまえた京都での公の施設等の使用手続に関するガイドラインの策定のとりくみ、「障害者差別解消法」具体化の現状と課題、国連・人種差別撤廃委員会の日本政府報告書審査の総括所見、男女平等社会の実現に向けたとりくみと課題などの学習をとおして、差別禁止をふくめた包括的な人権の法制度の必要性について論議する。
 また、ハンセン病と人権について学ぶ国立療養所邑久光明園での施設見学と学習、人間の尊厳を守り抜いた渋染一揆の歴史に学ぶフィールドワークも企画されている。

 第52回岡山全研では、このように多くの人権課題についての実践報告や学習講演がおこなわれる。3日間の集会のなかで、地域や職場でのさまざまな実践を交流し、部落解放・人権確立に向けた論議を深め、新たな部落解放運動の展望を切り拓こう。

 

 

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