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主張

 

第25回中央福祉学校に参加し、
支部や地域での生活・福祉運動を活性化させよう

「解放新聞」(2018.12.10-2886)

 日本社会のなかで、急速に少子高齢化・人口減少がすすむ今日、安倍政権は社会保障制度の改悪をすすめている。10月に開会した臨時国会での所信表明で、安倍政権は「少子高齢化に真っ正面から立ち向かい、すべての世代が安心できる社会保障へ3年かけて改革をすすめていく。これは、安倍内閣においては今後の最大のチャレンジ」と強調した。全世代型社会保障制度と銘打ち、現行の社会保障が高齢者への給付に偏り、不公平感を感じている現役世代や若年層にも恩恵がおよぶことをアピールしている。

 とくに、来年10月から幼児教育・保育を無償化し、再来年4月からは低所得者層向けに高等教育を無償化する一方、高齢者に関しては「生涯現役社会をめざし、65歳以上の継続雇用や中途採用、キャリア採用の拡大を検討する」という。社会保障の負担感が強かった子育て世代を意識し、年金や介護などで給付を受けてきた高齢世代にも長く働かせ、制度の支え手にするという、全世代に「もっと働け」といった制度だ。

 これまで安倍政権は「一億総活躍」「働き方改革」「女性が輝く社会」と、イメージばかりが先行する改革を訴えてきたが、どの「改革」も実態は制度の改悪をごまかすものでしかない。社会保障に関しては、医療費負担・介護サービス利用料の値上げ、「軽度者」向けサービスの介護保険給付はずし、年金改悪、生活保護費の削減を強行するなど、負担は増え、給付は減るといった制度改悪が強行されてきた。

 現行の社会保障制度について現役世代が感じているのは、社会保障サービスが現役世代の保険料支払いや税金によって賄われる一方、自身が高齢化し退職世代になったさいには十分なサービスを受けられないのではないか、という強い不公平感だ。

 社会保障制度は、高齢、病気、失業などによって生活の維持が困難な場合、生活を支えるセーフティネットの役割を果たしているが、安倍政権が3年かけてすすめるという「子どもから現役世代、お年寄りまで全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度」によって、さらなる負担増・給付減となり、セーフティネットの役割を果たせなくなるのは明らかだ。

 生活・福祉にかかわる厳しい状況をふまえ、私たちは部落解放運動の課題として、「自助」「共助」「公助」の理念を生かした「人権と福祉のまちづくり」運動にとりくんでいる。「自助」「共助」のみを強調する安倍政権の制度改悪と断固闘い、財源の保障や制度の拡充を求め、社会的支援を必要とする人が排除されることのない地域福祉運動のとりくみをすすめていかなければならない。

 さらに、「人権と福祉のまちづくり」運動のとりくみのなかで、「人権と福祉」の拠点施設としての隣保館活動(事業)の強化や、さまざまな施策での隣保館の役割・位置づけを明確にしていくことが求められる。とくに、「地域福祉計画」のなかに隣保館の役割など部落問題解決の視点を位置づけ、福祉や医療・介護制度を充実させていくとりくみをすすめていこう。

 これまで「人権のまちづくり運動」を各地から創り出していくとりくみがされ、それぞれ特色をもった人権のまちづくり運動がすすめられている。国や自治体の福祉政策などにかかわる一般施策を活用しているところや、他のNPOと連携した協働のとりくみをしているところ、自分たちで社会福祉法人などを立ちあげて事業を展開しているところ、隣保館を中心とし部落を「核」とした人と地域の活性化にとりくんでいるところなどさまざまだ。

 今後も、地域のなかで高齢者や障害者、ひとり親家庭、女性や子どもたちが安心して暮らしていけるまちづくり運動として「自分たちのまちを自分たちで創造していく」ことが求められている。地域の実態把握をふまえ、居場所づくり、情報の共有、相談機能の充実など、それぞれの地域で隣保館と協働してとりくみをすすめること、運動体として、地域住民として、さまざまな立場でとりくむべきことや役割分担などを明確にし、地域全体を包括する「人権のまちづくり」運動をすすめていこう。

 来年1月19、20日に第25回中央福祉学校を兵庫県神戸市内でおこなう。1日目は、厚生労働省地域福祉課から、地域福祉計画と隣保館についての省の考え方を中心にした事業説明がおこなわれる。また、全国隣保館連絡協議会から相談機能の充実に向けたとりくみの報告を受けて、学習を深める。こうした報告をもとに各地の隣保館やセンターなどの実情や相談事業を中心とした活動、地域の福祉課題などのテーマを中心に活発に意見交換、交流をすすめよう。2日目は、兵庫県尼崎市の神崎北地域で笑顔のまちづくりをめざし、中高生世代の居場所づくりや地域総合センター神崎の運営を中心に活動するNPO法人スマイルひろばからの実践報告がある。実践報告や討議をとおして、各都府県連の課題や問題点などを共有するとともに、私たち一人ひとりがすべきこと、支部や地域でのとりくみ課題を明らかにし、今後の生活福祉運動の活性化につなげたい。

 第25回中央福祉学校に積極的に参加するとともに、「部落差別解消推進法」や「障害者差別解消法」などをふまえ各都府県連のさまざまなとりくみをよりいっそう強め、「人権と福祉のまちづくり」の実現のために、私たち一人ひとりが隣保館の活動・事業に地域住民として積極的にかかわり、社会的支援を必要とする人が排除されることのない地域福祉運動を部落内外の協働の力で発展させよう。

 

 

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