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主張&声明

東京高裁は下山鑑定に関わる事実調べをおこなうべきだ!
下山鑑定と万年筆の疑問について学習・教宣を深めよう!

(月刊「狭山差別裁判」475号)

 狭山事件では、自白通りに被害者の万年筆が石川さんの家から発見されたとして鞄、腕時計とともに有罪の3物証とされた。これらは、犯人しか知らない事実(被害者の所持品を捨てた場所やどう処分したか)が自白によって判明した(自白通り発見された)という「秘密の暴露」にあたるとされている。しかし、「秘密の暴露」というためには、自白じたいが信用できるのか、誘導の疑いはないか、あるいは、本当に自白によってはじめて発見されたといえるのか、いいかえれば捜査官が自白以前にその事実を知らなかったのか、また、発見された証拠は事件に関係するものなのか、証拠がねつ造された疑いはないかなどを慎重に検討しなければならないはずである。実際にこれまでの冤罪事件では、警察が自白を誘導し証拠をしかけるなどして自白通りに証拠が発見され「秘密の暴露」があるかのように作り出していたことが少なくない。元東京高裁判事の渡部保夫著「無罪の発見」(1992年)ではこれを「疑似秘密」として幸浦事件など具体的な冤罪事件の例があげられている。

 また、「秘密の暴露」というためには、自白以前に捜査官が知り得なかった事実かどうかを判断しなければならないが、そのためには関連する証拠の開示が必要という指摘も重要だ。(指宿信・成城大学教授著「証拠開示と公正な裁判」2014年)「秘密の暴露」が争点となっている狭山事件の再審請求では関連する証拠開示、少なくともまず関連する全証拠の一覧表の弁護団への開示がおこなわれなければならないはずだ。
浦和地裁、東京高裁などで裁判長を務めた木谷明弁護士は著書「刑事裁判の心」(2004年)の中で狭山事件の上告棄却決定をとりあげて、万年筆の発見を「秘密の暴露」を認めるためには、前2回の捜索で発見されなかった経緯について十分な証拠調べが不可欠と思われると指摘されている。

 狭山事件の再審請求では、1回目の家宅捜索に従事した元刑事が「鴨居を調べたが何もなかった」と証言し、鴨居上の万年筆が見えないはずがないという科学的鑑定も出されたが、第2次再審・特別抗告棄却決定(最高裁第1小法廷)は、万年筆発見場所は「視点の位置や明るさによっては見えにくい場所」「意識的に捜すのでなければ見落とすような場所」などとして3回目の捜索で発見されたことを不自然ではないとしている。実際にカモイの現場検証もおこなうことなくこのような認定が40年間もくりかえされ再審請求が棄却されているのだ。

 第3次再審請求では、証拠開示された取調べ録音テープなどから、万年筆発見の際に石川さんが書いたという図面に改ざんがなされ、自白通りお勝手入り口の鴨居から発見されたように作り出されたことも明らかになった。そもそも、当時ふだん字を書くことのなかった石川さんが万年筆を家に持ち帰って鴨居に置いていたという自白じたいが不自然だ。昨年提出された下山鑑定は、こうした万年筆の疑問を決定的にする新証拠である。下山鑑定は、発見万年筆に被害者が常用していたインクが入っておらず被害者のものでないことを科学的に明らかにしているからだ。自白や発見経過の不自然さ、偽物の疑い、捜査の不正、ねつ造の疑いなど万年筆は疑問だらけだ。これらを総合的に見ればとうてい「秘密の暴露」ということはできない。今度こそ事実調べをおこない再審を開始すべきだ。下山鑑定と万年筆の疑問について学習と教宣を強化し東京高裁に再審を求める世論をひろげよう。


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